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TOPページ>ライトのトリビア

ライトのトリビア(雑学)

■ヘッドライト、テールランプ編

その1:ライトは呼吸している?

ヘッドライトやテールランプは防水の為に完全に密閉された構造になっています。しかしそのままだと点灯時や太陽光が当たって内部の空気の温度が上がった時に膨張した空気の逃げ場が無いので弱い場所から破裂してしまいます。それを防ぐためにライトユニットにはかならず呼吸キャップというものがあります。

温度が上がると内部空気が外部に押し出され、冷えると外気を吸い込むので呼吸と呼ばれています。

そしてこれは破裂の対策だけでは無く、結露対策も兼務しています。寒い日に締め切った部屋を暖房すると窓ガラスの内側が結露しますよね。アレと同じ事がライトの中で起こるので換気が必要になるんです。換気扇の代わりに空気の熱膨張を利用して内部の空気を入れ換えているんですね。

呼吸キャップ1
キャップタイプ
呼吸キャップ2
中にはエアクリーナーが
呼吸キャップ3
チューブタイプ
(この他にも空気は通して水分子は通さない特殊な膜を使ったシールタイプもあります)

異物が詰まってキャップの働きが悪くなると結露が発生しやすくなります。

その2:プロジェクターの配光について

ハイビームとロービーム、何が違うのでしょうか?良く上向きとか下向きと言いますがプロジェクターから放射される光が上に向いているとか下に向いているわけではないんです。

ヘッドライトのビームの基本はハイビームの照射であり、その時に上に飛ぶ光り成分だけを遮光板でカットしたビームがロービームなんです。

と言っても良くイメージがわかないですよね。そこでイメージ図をご覧下さい。

まずハイビームの照射イメージです。青の円錐はプロジェクターの中心から放たれる光のイメージで、レンズ中心から放射状に放出された光を赤い壁に当てているイメージです。

ハイビームの配光イメージ

上向きにも光りが飛ぶので上向きという表現が使われているのだと思います。

そしてこちらはロービームの照射イメージです。

ロービームの配光イメージ

遮光板で作られる「カットライン」はわかりやすい様に大げさにしています。上向きの光り成分がカットされているのがおわかり頂けると思います。
これは「左上がり」と呼ばれる国内基準の配光です。左ハンドルの国のヘッドライトでは反対になります。こうする事でヘッドライトから出るビームが対向車に対してまぶしくない様に配慮されているわけです。

加工で使うプロジェクターにはロービーム専用のプロジェクターもありますが、遮光板を加工出来る物はカットラインの位置を変える事で上向きの光り成分を飛ばせる事も可能になります。

しかしレクサス等で使われるLEDプロジェクターの中には遮光板を持たず、違う方法で上向きの光りをカットしている物があります。この場合はハイビーム配光への加工は不可能となります。

光軸調整ネジで無理矢理上向きにしてもハイビームとしての性能が無くなる事がご理解頂けますでしょうか?何故なら単純なイメージでは放射される光エネルギーが半分になっているわけですからね。

※プロジェクターの中には遮光板でカットして捨ててしまう光エネルギーを上手く反射で回収してロービームの配光パターンの中に回生する優れ物もあります。あくまで上の絵はイメージとしてお考え下さい。

その3:何故バーナーを空焼きするのか?

HIDバーナーの新品を取り付ける前には必ず空焼きをお願いしております。何故空焼きが必要なのか?と良く聞かれますが、純正品は別として安い社外品バーナーはガラス管表面に不純物が付着しているケースがあります。

それをヘッドライトへ装着する前にバーナーの点灯熱で飛ばしてしまおうと言う考えです。
もし密閉されたヘッドライトの中で不純物が蒸発して気化するとカバーの内側に蒸着して白濁してしまいます。

HID空焼き

こんな感じでヘッドライトの外で20〜30分点灯させればOKです。くれぐれも火傷にはご注意を。

その4:HIDの電圧

HIDシステムはハロゲンよりも高圧電流で動作している事はご存じの方も多いと思います。

HIDや蛍光灯などの放電管を使った照明では点灯のスタート(起動時)に最も高圧な電圧を発生させます。スイッチを入れた瞬間にエネルギーの「タメ」みたいな物を感じますよね。あの状態はイグナイターで一気に昇圧して放電開始のきっかけを作るトリガと呼ばれる高圧がかかった状態です。放電とは気体の中を電気が流れる状態です。このとき最初に電気が通る道を作るのに高圧電圧(HIDだと20000V程度)が必要になります。

一旦電気の通り道が出来てしまえばあとはこんな高圧電圧は必要ありません。常にHIDには高圧が流れていると言う誤認識が多いですが、20000Vもの高圧が流れるのは点灯のスタート時だけです。点灯安定後は直流の数十ボルトの電圧に下がります。

このときに品質の悪い海外製のHIDシステムではトリガの高圧が外に漏れてスパークする物があります。このスパークがLEDやLEDの配線に飛ぶとLEDは一瞬で破壊されます。

その5:車高と光軸の関係性

車高調やエアサスを入れて車高を下げた後、ヘッドライトの光軸がなんか低いな〜と思った事はありませんか?実はこれは気のせいでは無く本当にヘッドライトの光軸が下向きになっているんです。

多くの車のリアサスペンションにはハイトセンサー(車高センサー)が取りつけられており、リアが沈むと自動で光軸を下げる装置が付いています。これは車が荷物の重みなどで尻下がりになった時に対向車を幻惑させない為の工夫です。従って水平に車高を下げたとしてもリアが下がった事でこの装置が動作して光軸を強制的に下げてしまうんです。車高を下げた時はこの調整も必ず必要になりますね。

その6:CAN通信とは?

車の電子制御化が進むにつれてワイヤーハーネスの重量が無視できない問題となり、対策として考えられたのがCAN通信です。

旧来の車では灯火類は単純なスイッチでオンオフされてきましたが、最近の車には自動点灯やオートハイビーム、更には配光も自動で変化される物が出てきました。

これらの制御をコンピュータで行う為、例えば車載メインコンピュータが「ポジションランプを点灯させなさい」と言う命令を出せばそれを受けてライト側のコンピュータがポジションランプを点灯させます。

この様なライトではライト側でポジションランプの電気信号を取り出す事が出来ませんし、ポジションのLEDを違う物に交換したりすると電流値が規定値から外れてエラーになり、点灯も出来なくなる場合があります。

メインコンピュータとライト側のコンピュータはLANやインターネットと同じようにパケットを使ったネットワーク通信が行われており、データのやりとりしか行われず、実際にライトを点灯させる為の電流は流れません。

このシステムによって配線を細く少なく出来ますのでライト以外の車載システムでも多用されています。
既にアクセルやステアリングのバイワイヤ化が進んで居ますが、自動運転の進化に伴ってブレーキのバイワイヤ化も進んでいくと思われます。


■LED編

その1:実は点滅している

標準でデイライトを搭載している車が増えていますが、最近のLEDはコンピュータ制御されている物が増えており、普通に光っている様で実は目に見えない早さで点滅している物が多くなっています。パルス点灯とかダイナミック点灯と言われる点灯方式です。

スモールランプやブレーキランプ等でも同じです。では何故点滅させる必要があるのでしょうか?

ひとつは減光の目的です。特にスモール/ブレーキランプやBMWの様にイカリングがデイライト(ポジションランプ兼用)として使われるケースです。
フル発光時は12V(勿論車載なので電圧変動はありますが)の一定の電圧で光らせますが(DC点灯)、ダブル球の様にスモールランプとして同じLEDを減光させる時にはパルスという断続電流を流して視覚的な光量を落とす方法を採っています。

光量を落とすには電流制限抵抗で順電流を落とす方法もありますが、LEDによっては(特に白色)電流値によって色合いが変わるので問題になります。しかしこの方法だと色合いも変わりません。

パルスグラフ

更に進んだ最新のLED制御ではパルス点灯を減光目的に使うのではなくデイライトやブレーキランプのフル発光時に使うケースがあります。
これはパルス点灯の方がDC点灯よりも発光効率が良くなるからです。

LEDのデータシートにも記載されていますが、通常の定電流点灯よりもパルスの方が瞬間的に大きな電流を流せるんです。(※パルス幅やデューティー比に制限はあります)

LEDの特性として電流を落とすと発光効率が悪くなると言う側面がありますので、平均電流が同じであれば大電流パルスの方が明るくなると言う事なんです。

そして一説によれば単に点灯しているものより高速点滅している方が人の視角に訴える力が強まると言う説もあります。(この説は賛否あるみたいですが)

余談になりますが、LED式の交通信号機も点滅しているのは結構有名な話ですよね。交通信号機の場合はちょっと事情が違って電源の交流を全波整流して使っている副産物的効果もある様です。

パルス点灯なのかどうか調べるにはオシロスコープが必要になりますが、もっと簡単な方法があります。カメラで動画撮影するとパルスの場合は映らない事があるのですぐにわかります。

その2:白色LEDの正体は?

LEDで白色を作るには色々方法がありますが、車載に使う白色LEDは殆どの物が青色LEDの光りを黄色の蛍光体に当てて合成して白色を作っています。消灯時にチップ部分が黄色く見えるのはその為です。安く明るいLEDを作れる長所がある一方、製造ロットによって色温度に差異が出るのが欠点です。

その3:何故LEDがちらつく?

アイドリング時にLEDがちらつく事がありますが、これはオルタネーターで発電される電流の脈流(リップル)が原因です。

車の発電機はオルタネーターと呼ばれる交流発電機です。(ちなみにダイナモは直流発電機)
オルタネーターから出力され直流に変換された電流波形を見ると完全フラットな波形では無く波のように凸凹した波形になっています。車両の発電や整流に起因する問題なんです。

しかしながらLED回路の設計でも、このリップルに影響を受けやすい回路設計、受けにくい回路設計と言う物があります。市販のLEDバルブではリップルの影響を受けやすい回路設計の物を見かける事があります。
平滑回路を作ってやったり、最適な回路設計を行う事で対策は可能です。

その4:黄色は見えにくい

加工ライトで良く言われる事の1つにウィンカーが見えにくいと言う事があります。黄色のLEDは色波長が太陽光の影響を受けやすく同じ出力の他の色の物より見えにくい事が原因にあります。

LED式の交通信号機でも黄色の出力は赤や青よりも大きくなっています。
【U型車両用交通信号灯器仕様書警交仕規第245号】によると

発光色
正面光度(cd) 500 700 450
消費電力(VA) 10 19 12

となっており、黄色の出力が突出している事がわかります。
この事からウィンカーのLED加工では特に光量を大きく設計する必要がある事が重要になります。

その5:CRDは本当に有効か?

自作ユーザーさんには大変重宝な部品で、良く抵抗器と比較されるCRDですが、意外に短所は知られていません。上手く使えば回路設計も簡単ですし、リップルの対策にも有効ですが、CRD自体に4〜5V 以上の電圧が印加されないと正常に機能してくれません。

例えばVf3.2vの白色LEDを3個直列に接続するとLEDに必要な電圧は3.2×3個で9.6Vになります。エンジンを掛けていないフル充電のバッテリーだと12Vなので差し引き2.4VしかCRDに印加されない事になり正常な電流制限が行われなくなります。
この例で言えばLEDは2個直列までにしておけば12V-6.4V=5.6VでCRDは正常に動作してくれます。しかし省エネと言う観点では大変無駄な回路設計になってしまいますね。

純正のLEDテールランプを分解した方ならご存じかも知れませんが、メーカー純正のLEDテールランプにCRDを使った物を私は今までにお目にかかった事がありません。純正LEDテールランプの電流制限は普通の抵抗器で行われています。

メーカーが純正に採用する部品や仕様には必ず合理的な理由があります。勿論当店で加工する際はCRDは一切使わない様にしています。

たまにCRDを抵抗と勘違いされている方もおられますが、CRDと抵抗は全くの別物です。CRDは電流制限ダイオードです。半導体です。

参考文献
日刊工業新聞社 LED/EL照明設計入門
日刊工業新聞社 LED照明信頼性ハンドブック
日刊工業新聞社 高輝度LED材料のお話
オーム社 LED照明ハンドブック
CQ出版社 高輝度/パワーLEDの活用テクニック
CQ出版社 車載ネットワーク・システム徹底解説

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