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LED切れについて
LEDは切れないと言う間違った常識が蔓延しておりますのでLED切れについて説明させて頂きます。以下は加工を考えておられる方、すでに加工された方へ加工品に対する取り扱い上重要な事なのでご注意頂きたいと思います。
一般的に加工に使うLEDの寿命は数万時間と言われておりますが、これはLEDにとって理想的な環境下で使用した場合の話で車のライトに組み込む場合は様々な過酷な環境がありますので実際には短くなる場合が殆どです。最近では道路を走っている自動車メーカー純正LEDテール装着車両もLEDが切れているのを良く見かける様になりました。早期にLEDが切れる原因は色々ありますが特に多い事例を説明させて頂きます。
●環境温度
一般的なLEDはLEDメーカーが動作保証する温度は85℃程度までとなっておりますが、ヘッドライトやテールライトは状況次第で内部温度が100℃を超える事があります。特にヘッドライトはエンジンルームの熱をまともに受ける上に、HIDやハロゲン点灯時は内部が非常に高温になります。走行中は冷却されますが長時間のアイドリングはLEDにとっては非常に過酷な環境下になりますのでLEDの寿命に悪影響が出ます。テールランプでも長時間直射日光が当たる環境では内部はかなりの高温状態になります。
●高圧リーク電流
HID関連機器の廉価な商品の中には1部点灯時の高圧がリークする物があります。これらの電流がLEDや配線に流れるとLEDは一瞬で破壊されてしまいます。HIDを点灯する時にパチパチと音が鳴ったり、暗い所では火花が確認出来ますのでその様な商品をご使用される場合はご注意下さい。社外品バラスト機器を使われる場合はリークが確認出来ない場合でも高圧ケーブルは出来るだけLEDやLEDへの配線から遠くに配置したり、メッシュのチューブでシールドされる事をお勧めします。
●サージ電流
サージ電流と言うのは電流中に突発的に流れる高電圧の事です。車の中を流れる電流にはこのサージ電流が多く流れています。
車載のリレー機器もコイルからの逆起電流によるサージの発生源になります。例えばエアサス装着車ではエアサスの電磁弁、あるいはHID機器用のリレー等、
カスタムした車には後付のリレーが多数あり、これらの大半はサージ対策が施されていませんので常に周りにサージをまき散らしています。
通常はこの様なサージ電流はエネルギーが小さいので配線や負荷に吸収されて消滅しますので大きな問題になる事はありません。
しかしサージが大きかったり、サージの発生源がLEDの近くであったりするとLEDチップを直撃して破壊してしまいます。
●静電気
LEDは静電気でも破壊されます。ライト類のレンズ(カバー)は樹脂やガラス製ですが、特に冬季の空気が乾燥している時に表面を乾いた布等で強く擦ると静電気に帯電してしまいます。レンズ面に近い所に配置されたLEDはこの静電気によって破壊される場合があります。白色や青色系のLEDはチップの構造上非常にデリケートなので注意が必要です。ライトを車体に脱着する際にレンズ面を保護シートやテープで養生される場合も剥がす時に静電気が発生しますので表面の養生は避けて下さい。当店では製作作業時は様々な方法で除電対策を行っております。静電気は目に見えない物なのでなかなか実感がありませんが、落雷と同じ様に尖った物に飛びやすいのでLEDのチップなどは標的になりやすい形状だと言えます。当店では実験で静電気によるLED破壊を確認しております。静電気でダメージを受けたLEDでもしばらくは普通に点灯している事があります。何度も同じ箇所のLEDが切れる車両は過去に静電気でダメージを受けたLEDが順番に破壊が表面化していくと言う可能性も考えられます。
またライトの取り付け時には配線の接続作業時に配線の芯線に直接手が触れる場面もありますが、このとき作業者の体が静電気に帯電していると静電気が配線を伝ってLEDを破壊する事もあります。芯線を触る時には必ず車体に触れる等して体に溜まった静電気を逃がして下さい。
これらは純正無加工の時には思いもしない事ですが、LED加工すると使用上注意しなければならなくなります。高圧や静電気によって破壊されたLEDは特有の症状が出ますので修理時に説明させて頂きますが保証期間中であっても有料修理となりますのでご了承下さい。
特に静電気による物と思われる破壊は結構多いので加工後の取り扱いにつきましてはくれぐれもご注意下さい。
ライト表面にドレスアップ用のカラーフィルムの貼り付けは貼り付け作業時や剥がす時に静電気が発生します。またレンズコーティングも施工時にレンズを研磨する工程が入る物は静電気が発生しますので避けて頂きます様お願い致します。LED破壊が起こるケースの大半がライトの車体への脱着作業時なので作業時は特に慎重にレンズ表面やライト本体に摩擦を発生させない様にご注意の上作業を行って下さい。
ライトの脱着作業時は人体に溜まった静電気も無視出来ません。着衣は木綿等の静電気を発生しにくい物を着用される方が安心です。またライトのカバーを霧吹き等で湿らせる事も有効な対策です。
上記の対策としまして特にヘッドライト製作によく使いデリケートな白色LEDについては高圧サージからLEDチップを保護する為の保護回路を製作時に組み込んでおりますが、状況によってはこれで万全と言う訳ではありません。ノントラブルで長くお使い頂く為には以上の事項に対するお客様の意識も不可欠になります。
この動画は組上がったライトの最終クリーニングを行っているところです。シリコンオフで表面を拭いていますが画面中央のイオナイザー(除電器)に注目して下さい。機器上部のLEDレベルメーターが激しく振れているのがおわかり頂けると思います。これはライトの表面に静電気が発生している事を表しています。ライトの透明カバーはこのときは雷雲と同じく電気が溜まっていきます。除電をせずに拭き続けると電気が飽和して周りに放電します。つまり落雷と同じ様な事がライトの中で起こるわけです。
こちらの動画はテールランプレンズの表面に貼られたスモークフィルムを剥がしているところです。静電気でLEDが破壊されない様にイオナイザーで除電しながら作業していますが、イオナイザーのレベルメーターが振り切っているのが確認出来ます。これは養生テープであっても同じ事です。
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